ねずみとトムキャットの物語 5


夜会から帰ってしばらくして、今度は街でフェスティバルが開催されることになりました。


ねずみともぐらとトムキャットは、街の広場へ出かけていきました。


広場には、おめかししたねこの婦人やちいさなチョッキを着たこどもたちが、パレードを観ています。


トムキャットに似た、白いたてがみのある美しいネコがパントマイムを行っていると、ねこの音楽隊がやってきました。


大きなチューバを吹いているチューバねこ、ホルンを吹いているホルンねこ、トロンボーンを吹いているトロンボーンねこが青いユニフォームをまとって、広場をパレードしていきます。


ねずみともぐらは、お揃いのチョッキを着て、パレードを眺めていました。


トムキャットは、ねずみともぐらのために、ピエロの配っている風船をもらいに行きました。


ふと、街のはずれの方の空が明るくなったかと思うと、大きな巨人が化け物と戦っているのが見えました。



巨人や化け物は10mぐらいの大きさで、激しく戦っているのが街はずれの空に透けるように映っています。


巨人が化け物を押し倒すと、透明な壁を突き破るように、化け物が街の広場へ投げ出されました。


ねこたちの悲鳴を上げました。


向こうに見えていた世界がねずみやもぐら、トムキャットのいる世界と重なり、並木道の木々や街灯は倒され、化け物は地に大きな穴をあけて、埋まったのです。


広場に悲鳴が響き渡り、パレードのねこたちは方々へ散っていきます。



ねこたちは恐怖でわめき、叫び、広場はごった返しました。


トムキャットが慌ててねずみともぐらのところへ戻ると、二人はいなくなっていました。


『ラデス!』


トムキャットは、大声で叫びました。


ねずみはベンチの下でうずくまって泣いていました。


もぐらもアデスにしがみついて、ブルブルと震えています。


トムキャットは、ねずみともぐらをかかえると、急いで広場から離れました。



巨人が向こうの空からドスンドスンと広場へやって来ました。


巨人は、化け物を掴むと、もの凄い勢いで向こう側へ投げ飛ばしました。


街や森に警報が鳴り、世界の終焉が知らされると、すべてのねこや動物たちが雲の上へ上がりました。


ねこの婦人たちは涙ぐみ、こどもたちは泣いて、この世界に別れを告げました。


ねずみともぐらとトムキャットは、雲の上から世界を眺めました。


巨人が一人、街の広場に立っています。



世界は、巨人たちのいる世界とつながってしまったのでした。


雲は、街や森から遠く遠く、上の世界へ上っていきます。



『ぼくちゃんたちの森・・・」



ねずみももぐらも泣いていました。



トムキャットは云いました。


『新しい世界でやりなおそう。』


雲は、やがて遥かかなたへ消えました。



彼らは、新しい世界を創り、『オーストラリア』と呼ばれる新天地で暮らしたのでした。



ー 終 ー



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