ねずみとトムキャットの物語 4


ねずみともぐらとトムキャットは、森へ帰りました。


ねずみともぐらを森のおうちへ送り届けて、トムキャットが帰ろうとすると、ねずみは云いました。


『ぼくちゃんは、一人でねむれないから、今夜はここへ泊って行ってよ。』


『家へ帰って、着替えをすませてから、また来る』


トムキャットが帰ろうとすると、ねずみはまた云いました。


『帰らないで・・・ぼくちゃん、一人になりたくない。』


『分かっている。着替えをしなければならない。後で必ず来る。』



トムキャットは、ねずみのおうちを後にしました。


もぐらがいつものお洋服に着替えて、ねずみのおうちの前にある穴から出てきました。


『ぼくちゃんが一緒に寝るよ。』



しばらくして、トムキャットが着替えをすませて、ねずみのおうちへ来ると、誰もいなくなっていました。


『!』


トムキャットは、慌てて辺りを見回すと、ねずみのおうちの向こうにある大きな樹から声が聴こえてきました。


大きな樹の上で、ねずみともぐらと鳥がおしゃべりをしていました。


トムキャットは、ホッとして云いました。


『そこにいたのか。』


『おまえもはやく上がって来いよ。』


鳥は、トムキャットを見下ろして、羽をバサバサさせました。


ねずみは、トムキャットに云いました。


『月が綺麗だよ。』


トムキャットは、樹の上に上って、太い枝に腰を下ろしました。


『ほんとうだ。』


三日月が綺麗に輝き、夜を照らしています。


月は、まるで落ちそうなほどに樹の近くに見えるのでした。



『オレも夜会に行けたらよかったんだがな。』


鳥は、くちばしをとがらせて云いました。


『まあ、いいけどな。これからが夜会だぜ。』


ねずみももぐらも鳥もトムキャットも大きな樹の上の太い幹に腰かけて、月を眺めながら、おしゃべりをつづけました。


夜がふけると、ねずみのおうちで、みんなでねむりにつきました。



~ つづく ~



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