ねずみとトムキャットの物語 3


ねずみともぐらとトムキャットを乗せた馬車は、大きな街へ着きました。


街の広場には、時計塔のある立派な建物があり、モーニングやドレスをまとったネコたちが会場へ入っていきます。


ねずみともぐらは、周りをキョロキョロと見回しながら、建物の階段を上っていくと、ちいさな背広を着た動物たちが横を走っていきました。


『なぁ~んだ。ちいさいのは、ぼくちゃんたちだけじゃなかったね。』


ねずみはホッとして、もぐらに云いました。


『鳥さんも来れたらよかったのに・・・』


もぐらは、残念そうに云いました。


森の鳥たちは、お留守番をして、森のおうちを守っているのでした。



夜会がはじまりました。


大広間には音楽が流れ、テーブルにはたくさんのごちそうが並んでいます。


トムキャットは、シャンパンのグラスをねずみともぐらに持たせると、乾杯をして、おしゃべりをはじめました。


そして、ダンスの時間がはじまると、ネコのマダムをダンスへ誘い、大広間でダンスをはじめました。


ねずみともぐらは、テーブルのごちそうをお皿にとって、おなかいっぱいになるまで食べると、テラスへ出ました。


心地よい夜風が吹いています。


『楽しんでいるか。』


トムキャットがねずみともぐらの様子を見にきました。


『うん、食べ物は美味しいし、とても楽しいよ。でも・・・』


『でも・・・なんだ?』


ねずみが口ごもると、トムキャットは怪訝な顔で訊ねました。


『ぼくは、なんでちいさいのかな。ぼくも大きかったからよかった。』


トムキャットは、笑いながら応えました。


『ちいさくていいではないか。なんかあった時は守ってやる。』


『ぼくちゃんも?』


トムキャットの顔を覗き込むように、もぐらが訊ねました。


『みんな守ってやる。みんなで楽しく暮らすんだ。』


トムキャットとねずみともぐらがテラスから空を見上げて話していると、まもなく鐘が鳴りました。


夜会が終わり、動物たちがおしゃべりをしながら、それぞれの町や村へ帰って行きます。


『あの馬車は、どこの人だろう。』


煌びやかな大きな馬車を見て、ねずみが云いました。


ふわふわのドレスをまとったネコがタキシード姿のネコの手をとって、馬車に乗り込んでいきました。


『どこか大きな町の人かな。』


もぐらは、目を丸くしてじっと見つめました。


『ぼくちゃんたちも、大きくなったらあんな風になるんだ。』


ねずみともぐらがキャッキャッと話していると、トムキャットが馬車に乗ってきました。


『二人とも行くぞ。』


ねずみともぐらとトムキャットは、馬車に揺られながら、森へ帰っていきました。


『楽しかったね。』



~ つづく ~



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