くまとカメの物語


あるところに、くまさんがいました。


くまさんは、愉快な顔で、白いシャツに黒いズボン、赤と黒のラインの入ったネクタイをして、二本足で歩いています。

 

くまさんの向かったところは神社でした。

階段を上り、鳥居をくぐっていくと、奥に玉垣に囲まれた大きな樹がありました。

 

くまさんは、手を合わせて、お参りをしました。


参拝を終えると、くまさんは持ってきた木の枝を、玉垣の前方横にある植木鉢に挿して、ちいさな袋を結び付けました。


そして、もう一度手を合わせると、境内にある舞殿へ行き、休みました。



舞殿の床に座って、くまさんはボーっとしていました。


次の瞬間。


ハッと気づくと、くまさんは、まっしろい世界で寝ていました。

くまさんも顔も手も、全身まっしろくなっています。


辺りも一面まっしろの世界になっていました。



くまさんが驚いていると、ちいさなカメさんがやってきました。

カメさんもまっしろでした。



カメさんは云いました。


「ぼくちゃんたちは星になるんだ。」


くまさんは、キョトンとカメさんを眺めました。


まっしろくなった世界の向こうに、黒い空が広がっていました。



まっしろいくまさんとまっしろなカメさんは、二人で手をつないで飛び立ちました。


二人が黒い空を飛んでいくと、やがて空が碧くなっていきました。

そして、光が見えたかと思うと、光の世界へ消えて行きました。



― 終 ―



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